カルチャー |コーポレート | 公開日: 5月 23, 2022

『Fall Guys: Ultimate Knockout』やその他のゲーム開発者が語る、アクセシビリティとインクルージョンの重要さとは

Global Accessibility Awareness Day 2022とインディーゲーム
『Fall Guys: Ultimate Knockout』やその他のゲーム開発者が語る、アクセシビリティとインクルージョンの重要さとは

ゲーム産業が世界的に成長し、世界中の人々に喜びをもたらすようになるにつれ、ゲーム開発者は、身体的または認知的な制約に関わらず、ゲームをできるだけ多くの人々に楽しんでもらう方法をこれまで以上に模索してきました。ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)とゲーム開発パートナーにとって、アクセシビリティは非常に重要なトピックです。そこで、今回は『Fall Guys: Ultimate Knockout』、『Chicory: A Colorful Tale』(日本未発売)および『Tchia』(日本未発売)の開発に携った方に、インディーゲームにおけるアクセシビリティとインクルージョンについての考え方を伺いました。

インディーゲームの開発シーンは、ここ数十年での業界の拡大や開発ツールが容易に入手できるようになった環境に伴い、チームの規模やクリエイターとしての経験の長さに関わらず、世界中のゲーム開発チームが、アイデア、文化、そして思い描くイメージを共有する場として、発展してきました。自由な発想で制作されたゲームをできるだけ多くの方にお届けし、感動を呼び起こすためには、ゲームに込められた想いをプレイヤーに伝える際のあらゆる障壁を取り除くことが非常に重要です。Awaceb社で『Tchia』のゲームディレクターを務めるPhil Crifo氏は、同社は人間の本質や人の心に訴えかけるようなゲームの制作を目指しており、『Tchia』の世界はニューカレドニアの様々な文化や、それらを代表する非常に多様な人々からインスピレーションを受けたものだと語りました。「この世界への扉をできるだけ大きく開き、プレイヤーに気持ちよく入って来てもらえるようにすることは、我々がもっとも重要だと考えている点です。」(Crifo氏)

今回お話を伺ったゲーム開発者の方たちは、より具体的なゲームデザインの手法やシステムに関して同じような考え方を持っていました。それは、小さな変更がユーザー体験にもたらす影響を過小評価すべきではないというものです。すでにあるシステムを少し調整するだけで、より多くのユーザーのニーズに対応できることもあり、「少しの配慮やゲームデザイン上の決定が、ゲームを快適にプレイできるかどうかの分かれ目になることもあります。」と、Mediatonic社のコミュニティアシスタント、Juliet Stafford氏は語ります。さらに「Chicory: A Colorful Tale」のクリエイターおよびデザイナーを務めるGreg  Lobanov氏は「私たちのゲームのアイデアを気に入ってくれた人がいても、技術的な見落としが原因でゲームをプレイできなくなることは、私たちにとっても悔しいことです。」とコメントしました。

一気通貫で物事を進めるインディーゲームの開発は、アクセシビリティを革新的な方法で実現する有効な手法であるため、インディーゲーム開発者とともにアクセシビリティの課題を解決する方法を模索していくことが重要です。色覚障がいや精神的な不安を伴う症状をお持ちの方、ゲーム経験の浅い方にも「Chicory: A Colorful Tale」を楽しんでいただけるように、それぞれのユーザーのニーズを満たすテストプレイを欠かさなかったLobanov氏は、「インディーゲームは小規模なプロジェクトであるため、ディレクターの想いがそのまま反映されやすく、アクセシビリティ面も重視されてくるのではないでしょうか。」と語りました。

“すべてのゲームがより高いレベルのアクセシビリティ機能をサポートするようになれば、ゲーム制作があらゆる人を対象にしたものになるでしょう。”

『Fall Guys』のリードUXデザイナーAnna Magieva氏は、アクセシビリティは特別なニーズを持つ方や、制約のある状況で生活する方だけではなく、すべてのプレイヤーが対象であり、コミュニティの一員であると感じてもらうためのツールだと考えて欲しいというMediatonic社のインクルージョンにおける見解を語りました。「Fall Guysのプレイヤー層はかなり若く、初めてプレイするゲームがFall Guysという人も多いと思います。そのためプレイヤーに満足してもらい、かつ楽しみながらゲームの世界の扉を開けてらうことが私たちの非常に重要なミッションです。私にとってアクセシビリティとは、潜在的にプレイヤーになりうる全ての人々を受け入れ、孤独を感じたり、ゲームを楽しめなかったり、友人とゲームを遊べないといったことのない、理想的なユーザー体験を創ることです。」(Magieva氏)

そのように様々な点から考慮する必要がある中で、ゲームで最も配慮するべきアクセシビリティの課題は、どのように特定するのでしょうか? Stafford氏は「ライブゲームに携わりながら個々の課題解決に専念する上では、チャレンジングなこともあります。」とインディーゲーム開発者が直面する課題を語ります。「これまで優先的に対応してきたアクセシビリティ機能のリストがありますが、対応できていない課題についてはデザインチームが現在、精査している状況です。私たちは『Fall Guys』で可能な限りアクセシビリティ機能をサポートし、出来るだけ楽しんでいただきたいと思っていますので、プレイヤーがアクセシビリティの問題や懸念を報告できるサポートチャネルを開設する予定です。」(Stafford氏)

“ゲーム業界の標準知識としてアクセシビリティを理解し、アクセシビリティが考えられたゲームを開発するために必要なことを学び経験を重ね、すべてのユーザーが快適にゲームをプレイできるようになることが私の願いです。

SIEはアクセシビリティを重視した、業界を代表するようなゲームの制作を追求するとともに、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(平等性)およびインクルージョン(すべての人が使いやすいと感じるデザイン)の重要性を社内でも呼びかけています。PlayStation StudiosではノーティードッグInsomniac Gamesなどでのアクセシビリティ対応が進んでいますが、ゲームでのアクセシビリティが将来さらに充実したものになるような取り組みも続けています。自身の制作するゲームでのアクセシビリティ対応を検討した際、PlayStation Studiosのタイトルによる取り組みに注目したCrifo氏は『The Last of Us Part II』に大いに刺激を受けたと言います。「この作品のカスタマイズのきめ細かさはすべてのゲームが目指すべき基準となるものです。とても印象的でしたし、ユーザーコミュニティからの反応も非常に心温まるものでした。」(Crifo氏)

また、アクセシビリティの強化に関心のある他のインディーゲーム開発スタジオに向けて、Magieva氏は次のようにアドバイスを送りました。「ゲームに求められていることを考える際、会社全体の方向性をすぐに変えるのは難しいでしょう。しかし教育とトレーニングを受けた人たちで構成するチーム単位であれば、すべてのユーザーがよりプレイしやすいゲームを作りやすくなるはずです。例えば、『Home – Accessible Games』のような、アクセシビリティに関する情報を提供してくれる素晴らしいリソースがたくさんあります。」(Magieva氏)

またゲーム制作そのものでも、例えばゲームの難易度、UI面での配慮、テストプレイなど、微調整をかけながらアクセシビリティの要素を取り入れることが可能です。「テストプレイでアクセシビリティのオプションを使用して、対象にしていた人々を効果的にサポートできているのか確認してみてください」とLobanov氏は言います。また、新しく複雑なシステムはゲーム開発のできるだけ早い段階で考慮しておくべきだとCrifo氏は提案します。「このような緻密なシステムは、開発の初期段階で構築する方が容易です。さもないと、それまで開発したプロセスを遡って対応することになります。私たちはこれを苦労して学んだので、次回はもっと賢く開発を進めるつもりです!」(Crifo氏)

SIEは、今回お話を伺ったインディーゲームの開発に携わる皆様のアクセシビリティを重視する取り組みや姿勢を讃えるとともに、今後も引き続きインディーゲームにおいてアクセシビリティを推進していく上で、Mediatonic社、Finji社、Awaceb社の各スタジオの皆様と協力できることを嬉しく思います。各スタジオに関する詳細(英語)は、それぞれの公式サイトからご覧いただけます。

私たちは今後もSIEでのGAADやそれ以降のアクセシビリティ関連の取り組みをブログで発信していきます。

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2022年5月24日に一部内容を更新